世界遺産アンコール・ワットがあるシェムリアップは、カンボジアの北西部にある小さな町です。
カンボジアは1970年から1993年まで内戦状態にあり、たくさんの遺跡も破壊されましたが、世界各国の支援で、修復がされています。日本も「日本国政府アンコール遺跡救済チーム」が修復を手助けしました。
60以上あると言われているアンコール遺跡、その大半が1992年世界遺産に登録されました。
アンコールワット遺跡のデバダー像
アンコールワットは12世紀前半から約30年の歳月と3万人もの人力を費やして建てられた、石造りで左右対称のヒンドゥー教寺院、のちに仏教寺院に宗旨替えされています。
※クメール王朝はもともとヒンドゥー教を信仰していたんですが、末期にはアユタヤ朝(タイ)の影響を受けて仏教を取り入れたため、混合して信仰された時期があったと考えられています。
周囲は環濠に囲まれて、参道を通り、三重回廊と中央には5基の尖塔がそびえたっています。内部の壁面には、たくさんのデヴァダー像が彫られています。
歯を出して笑っていたり、ヘアースタイルを気にしていたり、表情も格好もみな違うんです。ここで働いていた女官がモデルになっているそうで、それぞれ特徴があるんですね。(体つきはみな同じでやせてる人や太った人はいないですが・・・)
とっても優美なデヴァダー像、見ているだけでこちらまでニッコリ微笑んでしまいますね。
事故多発!?とっても危険な第3回廊
子供や妊婦さん(酔っ払いもダメですよ!)は入ることができない第3回廊、理由はこの急な階段なんです。僧侶が落ちて死亡事故が起きている、とっても危険な階段。
※現在は木の階段と手すりが設置され、上り・下りが分けられています(それでも急な階段には変わりないですよ)。午後からの観光では混雑して並ぶこともあるようです。
急な階段なら、下を向いて上がる→頭を下げて上がることになる、というわけで、第3回廊は神聖な場所。短パン、スカート、ノースリーブでは入ることはできませんので注意してくださいね。
上から遺跡を見下ろすことができ、絶景の景色を見ることができます。黄色いバルーンが上がるところでした。上空からアンコールワットが楽しむことができるんでしょうね~。
アンコールワットの夕日と女の子
アンコールワットは西を向いているため、午前中は逆光になってしまいます。キレイに写真に収めるには、午後からの観光がおすすめです。
アンコールワットの北西にある、高さ60mほどの小さな山プノン・バケンから、夕日に照らされるアンコールワットを眺めることができます。
山頂には9世紀後半に建てられたヒンドゥー教のプノンバケン寺院の遺跡があり、遊歩道を20~30分ほど歩きます。
途中で、小さな女の子が座っているのを見つけました。女の子は薄汚れた格好をして、小さなお椀を前に置き、下を向いて手を合わせていました。
物乞い・・・小さな女の子が一人で? 「たぶん、家に帰れば、両親がいて、フツーの生活してるんだよね。観光客の同情をひいてお金を稼がせてるんだよ。」
情報通の人が教えてくれました。「きっと、あの子自身は親に言われて座ってるだけで、自分が何してるのかわかっていないんじゃないかな。」
なんだか胸が締め付けられました。地雷で腕や足を吹き飛ばされた人たちが、座り込んでいる姿も見てきたから。彼らにはお金を得る手段がそれしかない、とお金をお椀に入れている観光客もいました。
身体の1部を失くしたけれど、音楽を奏でてお金を稼ぐ人もいました。ただ座って、不自由な体を見せている人もいました。小さな女子の真実は分からないけれど、毎日あそこに座っているのでしょうか・・・。
アンコールワットの夕焼けを見た後、戻る道に女の子の姿はなくなっていました。内戦が終わっても、内戦の爪痕がまだまだ残ってる、そんな気がしました。
さいごに
修復工事が進み、観光客が増え、新しいホテルが建ち、町がきれいに整備されていくけれど、もともと老朽の激しい廃墟だったので、今後立ち入り制限や立ち入り禁止エリアが出てくるかもしれません。
夕日に照らされるアンコールワットが見られる、プノン・バケン寺院へは最大300人までしか上がれません。遺跡からアンコールワットを眺めるなら、早めに行かれることをおすすめします。
アンコールワットの第3回廊へ上がれない日(月に4日ほどあります。王室や国家行事で入れないときもあります)もあるので、確認してからお出かけくださいね。
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