18年前。航空チケットとホテルだけを予約して、飛んでイスタンブールに到着。予約したホテルでは英語が通じず(フランス語ならOKと言われた)、チェックインにも一苦労。
ブルーモスクに向かう途中で、英語で話しかけてきた若者に、現地の外国人向けツアー会社を紹介してもらいました。対応してくれたのはMr.アリ。3泊3日(!)のツアーを組んでくれました。
その日の夕方5時にツアー会社に行き、夜行バスで2泊、ホテル1泊というハードスケジュールの旅が始まりました。
夜行バスでカッパドキアへ
Mr.アリにイスタンブールのバスターミナルまで送ってもらい、そこから大きなバスに乗り換えて夜8時半に出発。バスの乗客はトルコ人ばかり。
通路を挟んだ反対側のおばちゃんが、ちょんちょんと私の肩をつついて、お菓子をくれました。
朝の7時にカッパドキアのバスターミナルに到着。約12時間のバス移動に腰が痛いのなんのって。そこからタクシーで宿泊予定のホテルに向かいました。
ホテルのフロントでバウチャを提示すると、何やら腑に落ちない顔のお兄さん。「荷物預かってあげるから、先に朝ごはん食べておいで」と言われ、喜んで食堂に向かいました。
お腹いっぱいになったところに先ほどのお兄さんが「部屋に案内する」と迎えに来てくれて、部屋で顔を洗ってのんびりしてたら、電話のベルが鳴りました。
現地ツアーのおじさん(通称ワタナベトオル・トルコ人)は、「実はホテルの予約できていなかったんだよね。ここは私が払って後でMr.アリに請求するよ」・・・この先、大丈夫なのかしらん?
おじさんに連れられて、途中イギリス人カップル、オーストラリア人男性1人と合流し、地球上とは思えない風景の世界へ出発しました。
カッパドキアを散策
今から300万年前、カッパドキアの東にあるエルジェス山と、南西のハサン山が大噴火をおこし、火山灰と溶岩が大量に堆積、柔らかい凝灰岩と固い溶岩の層を作りました。
それから長い年月をかけて、風や雨によって柔らかい凝灰岩が削られて、固い溶岩の帽子をかぶるキノコ岩が作られました。しめじというか、三角帽子というか、きのこの山のチョコレートみたいです。
妖精が住みそうな風貌から「妖精の煙突」とも呼ばれていますが、どちらかといえば妖精よりもっと荒々しい、龍とかバルタン星人の方が似合うような気がするのは、私だけでしょうか???
凝灰岩は掘削しやすかったので、紀元前4000年には、岩を削って住みつく人もいたそうで。3世紀にキリスト教徒が迫害されると、掘った岩に教会を作り、移り住みました。
現在はキノコ岩に囲まれるように村があり、洞窟住居は村人の貯蔵庫などに利用されています。
有名な3本キノコ岩(同じ岩から3本のカサがでてる)や、見た目がラクダに見えるラクダ岩など、見るものすべてが「おおっ」って声が出るような、巨大奇岩の数々・・・。
気が遠くなるような時間をかけて作られた、白、茶色、赤茶色、ピンクの色の巨大奇岩が立ち並ぶ風景は、不思議で幻想的。自然の力と人間の力で作られた風景です。
今でも日々形を変えているキノコ岩。残念ながら、落盤や崩壊も進んでいるようです。
ギョレメ渓谷の洞窟修道院
ギョレメ渓谷の「ギョメレ」は「見てはいけないもの」という意味だそうで、7世紀から13世紀にかけて、イスラム教徒の迫害から逃れたキリスト教徒が隠れ住んでいました。
現在30近く残っている洞窟修道院や聖堂、礼拝所には、光が差し込まなかったおかげで色あせていない壁画も残っています。
※教会のフレスコ画は現在、保存状態維持のため、写真撮影は禁止されています。写真↑は、18年前に撮影したものです。
梯子を上っていくと、10人も入ればいっぱいになるくらいの広さの部屋に、小さな祭壇がありました。隠れ住んで不自由な生活をしていても、捨てない信仰心には頭が下がります。
1923年トルコ共和国が誕生し、洞窟に住む人たちはいなくなりました。
ギョレメ国立公園およびカッパドキア岩石遺跡群は、1985年世界複合遺産(文化遺産+自然遺産)として登録されました。
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さいごに
ツアーの出発直前に、Mr.アリが「帰りはパムッカレからイスタンブールまで国内線の飛行機に変更になったから、70ドル追加ね」とチケットを差し出したんです。
「もういい、キャンセルする!」とゴネたら、「わかった、チケットはプレゼントするよ」
でも、チケットをプレゼントできるほどの料金をすでに私は払ったんじゃ?と逆に疑ってしまいました。
「ここであなたが満足して、あなたの友人を私に紹介する。私はもうかる。だから今はもうけを考えないで、いいツアーを提供するのが私の仕事」とMr.アリ。
ぼったくられているのかも? この時、1ドル=1,180,000トルコリラ。旅行代金は8億3700万トルコリラ、桁が多すぎてわけわかんなくなってた感もあります。(現在は新通貨が発行されています。)
たぶん、Mr.アリは十分もうけていたんだろうなぁと思うけど・・・この胡散くさいおっさんを半分疑いながら、出発しました。
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