クルーズ船で過ごす最後の夜。夕食の前に各国ごとに指定された場所に集まり、下船に関する注意事項などのお話がありました。
21時までにはスーツケースのパッキングを終え、各部屋の扉の前に出しておくこと、翌朝の集合時間などの説明があった後、夕食になりましたが、なんだかいつもより揺れを感じます。
なんだか変だなぁと思いつつも、翌日の準備のために早々に部屋に戻りました。
まさかの嵐で船内大揺れ!
通常、大型クルーズ船は、天候の安定した海域を運行し、揺れ防止のスタビライザーを搭載しています。船の上だと感じさせないくらい、揺れを感じることはありませんでした。
けれども。どんなことにも「想定外」なことは起こりえるんですよね。「絶対に起こらない」という保証はなく、船の上ではどんな時も、逃げ場がないんです。
少し揺れを感じるなぁ、という状態から、あっという間に足元がよろけるほどの大きな横揺れに変わりました。窓の外は真っ暗で、大粒の雨が窓をたたいています。
船は浮力と重力のバランスで浮いていて、船が傾くと元に戻ろうとする力が働きます。船の中心付近の揺れは小さく、中心から離れた左右は揺れが大きくなります。
クルーズ船で窓側を予約したのがあだになりました。上層階の窓際は、真ん中の部屋に比べたら、揺れが大きくなるんです。
もともと乗り物酔いはしないタイプだったので、酔い止めの薬も持ってきておらず、気分が悪い・・・と思ったとたん、夕食に食べた物を吐いてしまいました。
船酔いって吐いてしまえば楽になるわけではなく、脳がずっと揺さぶられている状態なので、もはや自分でコントロール不能、立って歩くことすらままなりません。
翌朝の下船のために、21時までにスーツケースを扉の前に出しておかなくてはいけません。
とにかくスーツケースに必要なもの以外をめちゃめちゃに突っ込んで、扉の外に出しました。廊下にはスーツケースがあっちこっち散乱している状態です。
同じフロアにあったメインラウンジからは音楽が流れていました。こんな状態なのに、平気な人もいるんだ…と思いましたが、様子を見に行く余裕はありません。
内線で電話をかけて、酔い止めの薬を持ってきてもらいました。英語で「薬・・・」と言っただけでしたが、スタッフのお兄さんが、水と薬を持ってきてくれました。
「船・・・止めて・・・」もう半べそ状態。お兄さんは申し訳なさそうな顔して、「これ飲んで寝て」と言っています。どこでもいいから、陸におろしてほしい~! 涙がぽろぽろあふれてきます。
すぐに横になったのですが、ベッドは頭を窓側に向けた状態なので、船が揺れるたびに頭が上になったり下になったりと、大きく揺さぶられてしまいます。
ベッドを動かして、窓と平行に設置し、頭が大きく揺さぶられないようにしてみました。身体全体が上下に揺れますが、頭だけ揺さぶられるよりは随分マシになりました。
薬が効いてきたのか、知らないうちに寝てしまっていました。
船酔いしたときの対処法は?
クルーズ船旅行で、大シケや嵐に遭遇してしまったら、進行方向に頭を向けて寝てしまうのが一番です。自分だけが具合が悪い状況なら、外に出て遠くを見るのも効果がありますよ。
炭酸水は胃の調子を整えてくれます。チョコレートなどの甘いものは血糖値を上げて脳を覚醒させるのでおすすめです。
自分は乗り物酔いしないと過信せず、かならず乗り物酔いの薬を持参してくださいね。
フラフラでアテネ考古学博物館へ
目が覚めた時、船の揺れは随分緩やかでしたが、一晩中揺さぶられていたせいか、揺れている感覚が抜けません。朝食を食べる元気もなく、下船の時間までただぼんやりしていました。
外は風が少し強いかな、という状態でしたが、この日のクルーズは欠航になっていました。船の中は、水がこぼれたり、コップが割れたり、大掛かりな掃除が必要な状態です。
アテネの港に到着し、船を降りても、体がゆられている状態。「陸酔い(おかよい)」という言葉を初めて知りました。長時間船で揺られたために、揺れていない地面に降りても、揺れを感じてしまうんです。
その後、アテネ国立考古学博物館に行ったんですが、ちょこっと見ただけで、ベンチに座りこんでしまいました。歩くと身体が揺れてしまって、ふらついてしまうんです。
考古学博物館は、ギリシャ各地で出土した美術品が展示された博物館です。エヴィア島の北端の海底で見つかったゼウス像(↑写真左)、像を運ぶ途中で船が沈んだ?と考えられています。
ヴァルヴァキオンのアテナ(↑写真右)は、パルテノン神殿に設置されていた高さ12mのアテナ像の1/12サイズのレプリカ。
アテナ女神はスフィンクスとペガサスのヘルメットをかぶり、右の手の平には勝利の女神ニケを、左手にはメデューサ退治に使われた楯を持っています。
ここにはトロイア戦争に勝利したアガメムノン王の黄金のマスクもあるのですが、とても歩き回れる状況ではなく、ほとんど見ることができませんでした。残念ですが、仕方ありません。
諦めて、その日の宿泊予定のホテルへ行き、早めに部屋に入れてもらって、ベッドに倒れこみました。目が覚めたのは夕方の4時。身体の揺れが収まって、やっと普通に歩けるようになっていました。
さいごに
憧れの豪華客船の旅は、最後の最後に悲惨な目に遭ってしまいましたが、でもまたいつか。乗ってみたいなって思っています。
いろんな国の人たちが乗っていて、話ができるのも、普段の旅行ではあまりないチャンスです。クルーズ船に乗ったら、いろんなイベントに参加して、端から端まで船旅を満喫してくださいね。
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