地下鉄に乗って、ローマの中の別の国バチカン市国に行ってみましょう。
バチカンは国全体が世界遺産、ですが、存在自体が世界遺産って感じです。国としての「あり方」が、他の国と全然違うからです。
バチカンと秘密の通路でつながっているというサンタンジェロ城は、バチカン市国から歩いていくことができますよ。
バチカンのサンピエトロ大聖堂へ
ローマからバチカンへの行き方は?
テルミニ駅から地下鉄に乗って約20分、6つ目の駅、サン・ピエトロ(Ottaviano-S.Pietro-Musei Vaticani)で下車します。駅から南へ向かって10分ほど歩きます。
サン・ピエトロ大聖堂は120年以上かけて建築され、1626年に完成しました。ルネサンス様式とバロック様式が融合した、巨大教会堂です。
サンピエトロ大聖堂に入る前に、セキュリティチェック(手荷物検査)を受けます。服装チェックもあり、肩やひざが出ている服装では入場できないので注意してくださいね。
サンピエトロ大聖堂の見どころは?
1614年に完成したファサードは、幅約114m、高さ48m、コリント式の柱を持っています。その上に高さ約6m、13体の聖人像が飾られています。
左右に時計がありますが、両方の時間は同じではなく、ずれています。ヨーロッパの教会では、このように時刻の違う2つの時計をよく見かけます。
キリスト教で悪魔とは、神を中傷し、人間をたぶらかし、悪の道に誘惑する存在で、闇の世界に住んでいます。悪魔が活動する時間帯、人間に近づく悪魔を混乱させるために、時間をずらしてある、という話を聞いたことがあります。
この大聖堂も、そういう意味で時刻がずれているのかもしれませんね。
中に入ると、巨大な美術館のようで、たくさんの彫像(大理石やブロンズ、スタッコなどの像が400体以上あります)やモザイク画で飾られています。
右側廊の一番手前の礼拝堂には、1499年に作られた、ミケランジェロの「ピエタ」、死んで十字架から降ろされたキリストの体を抱く、母マリアの像です。分厚い防弾ガラスに覆われています。
ドームの真下にある教皇の祭壇は、1632年に完成した、ベルニーニのデザインです。金メッキされた青銅で作られた天蓋付きの祭壇で、高さ29m、オリーブとローレルの枝で飾られた4本のねじれ柱を持っています。
天蓋の下の金の鳩は、「聖霊」を表し、この下に聖ペテロ(キリスト最初の弟子)のものとされる墓があります。(聖ペテロの墓だという確証はないようですが・・・。)
祭壇の手前には、聖ペテロの像があり、右足に触れると幸せになれると言われています。右足は指がなくなるほどすり減って、まるで靴を履いているようです。いったいどれだけの人たちが触ったんでしょう?(写真左:足が写っていませんが・・・)
聖堂の奥には聖ペテロが座ったとされる木製のイスが置かれています。椅子(玉座)の上には金色の天使たちとステンドグラスがあり、その中に聖霊の鳩が羽を広げて飛んでいます。
祭壇の上はブロンズ製のドームで、ベースに沿ってラテン語の金の刻印があります。
聖堂内には11の礼拝堂、40以上の祭壇があり、どこを見ても、あちこちに細密な彫刻があり、とにかく圧倒されます。
粛々と見学したいところですが、観光客も多く、静かにゆっくり観る、というのは難しかったです。早朝か夕方を狙うといいかもしれません。
サンピエトロ大聖堂のクーポラへ上がるには?
聖堂の右側にある中庭から、大聖堂のクーポラに上ることができます。
クーポラの上の十字架までの高さは136m、551段の階段を上っていくか(6ユーロ)、エレベーターを使って残り320段を上がるか(8ユーロ)を選択できます。
エレベーター乗り場の手前にチケット売り場があります。エレベーターを使いましたが、それでもかなりの階段を上ることになります。
エレベーターを降りると、ファサードの上に立つ聖人像の背中を見る高さです。そこから階段をぐるぐる上っていくと、祭壇上のドームのフレスコ画の部分に到着します。
ドームの天井や側面のフレスコ画を目の前で見られます。そこから大聖堂を見下ろすことができ、下から見るのとは違う雰囲気を楽しむことができます。
そこからさらに階段を上がっていくと(エレベーターを使ったのに、こんなに上るのかい!?と、ひざが笑うくらい上ります。)クーポラの展望台に到着します。
高さ120mの展望台から、ローマ市内が一望できます。遮るものが何もないので、かなり遠くまで見渡すことができます。観光客がひしめき合ってて、移動するにも一苦労でしたが、サン・ピエトロ広場を上から見るのは最高の眺めです。
けれども。ふと、建物側に目をやると。
ぎっしりと落書きされていて、とても切なくなりました。高校生が落書きしちゃったことを告白して謝った、というニュースがあったけれど、これだけ落書きされてたら、自分も書いてもわかんないよね、って思うのも無理ないかなと思うくらい。
そして、これだけめいっぱい落書きされてしまったら、消すことがどれだけ大変なことか・・・自分の家に落書きされるのと同じです。大切な遺産を傷つける行為はしてほしくないと強く思いました。
サン・ピエトロ広場
大聖堂の前には、30万人もの人が入れる広大なサンピエトロ広場が広がっています。中央にはエジプトから運んだ、高さ25.3mのオベリスクが立っていて、その左右には2基の噴水が並んでいます。
円形に膨らんだ大柱廊には4列、372本の柱が並んでいます。その上には高さ3.3mの歴代教皇と聖人像が左右に70体ずつ、広場を見守るように立っています。
広場には「ベルニーニ・ポイント」と言われる円盤が、オベリスクと噴水の間(左右2か所)に埋め込まれています。ここに立つと、4本の柱が重なって1本に見えるのです。ぜひ確認してみてくださいね。
ローマの中にあるバチカン市国
ローマ教皇が統治する世界最小の独立国家で、世界最大の教会「サン・ピエトロ大聖堂」がある聖地、バチカン市国。テレベ川の右岸に位置し、東京ディズニーランドより少し小さい広さです。
聖職者と修道士・修道女、スイス人衛兵はバチカン国民で、聖職についている間だけ、ここで勤務している間だけの国籍になります。
彼らは二重国籍を持ち、バチカン内で生まれてもバチカンの国籍を取ることはできません。
教皇庁で働く一般市民は、市国外(イタリア)から通勤しています。国旗も国歌もある1つの国だけれど、生まれて死ぬまでずっとバチカン市民という人は1人もいない、なんだか不思議な気がします。
バチカンは1984年に世界遺産に登録されました。信者だけではなく、世界中のたくさんの観光客が訪れる場所。
ここからポストカードを出すときは、イタリアの切手は通用しないので、要注意です。(ポストの色は黄色です。)
各所で黄色と青の縦縞の制服を着用したスイス人衛兵を見かけます。この制服はミケランジェロのデザインしたものと言われていますが、ここ以外で見かけたら「えっ?」と振り返るような奇抜で個性的なデザイン・・・まるでディズニーランドのキャストのようです。
Piazza San Pietro, 00120 Città del Vaticano
↑↑kkdayでは、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂とシスティーナ礼拝堂(バチカン美術館)の優先入場チケットを購入することができます。
サンタンジェロ城と天使たち
バチカンから東へ600mほど歩くと、テヴェレ川右岸にサンタンジェロ城があります。139年に完成した、バドリアヌス帝が埋葬された円筒形の霊廟です。歴代のローマ皇帝の埋葬壺もおかれています。
280年に霊廟を取り囲むように壁が建てられ、軍の要塞に改築されました。
サンタンジェロ(天使の城)という名前は、ローマをペストが襲った時、教皇が神に懇願し、大天使ミカエルがここにきて、ペストを終焉させたという伝説からきています。城の上には救世主の天使の銅像が立っています。
映画「天使と悪魔」では、バチカン宮殿からサンタンジェロ城まで秘密の通路でつながっていましたが、実際14世紀にはサンタンジェロ城はバチカンの所有物になっていました。
ローマ法王の避難用脱出ルートとして通路が作られ、サンタンジェロ城は財宝や食料の保管場所でもありました。
1870年サンタンジェロ城はイタリア軍の手に落ち、刑務所や軍の兵舎としても使われていたようですが、1933年以降はローマの歴史を伝える博物館として一般公開されています。
テヴェレ川にかかるサンタンジェロ橋は、城と同時に作られました。橋の欄干にはたくさんの天使たちが見守っています。
天使たちはそれぞれいろんなものを持っています。十字架、釘、いばらの王冠、槍などなど、キリストの受けた苦しみを象徴するものばかりです。
かつて、テヴェレ川にかかる橋はここだけだったので、サン・ピエトロ大聖堂に行くためには必ずこの橋を渡りました。天使たちはキリストの受難の道具を手に微笑んでいます。
なんだかメッセージを含んでいるような・・・? それにしても、どの天使像もとてもきれいなお顔で、癒されますね。
Lungotevere Castello 50, 00193 Rome
さいごに
バチカンのサンピエトロ寺院は観光客が多く、とても混雑しています。写真を撮るのに夢中になってしまうと、自分のカバンに気が向かなくなってしまいます。
スリに気をつけて、カバンをしっかり握っていてくださいね。
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