ドレスデンの中央駅からエルベ川方面の旧市街は、19世紀ザクセン王国の首都として栄えた町です。歴史的な建築物が多く、美術館や博物館も多い市内を、ゆっくり歩いてみましょう。
上を見上げれば、教会の塔がそびえているので、方向を間違えず歩くことができますよ。
ドレスデン中央駅から歩く
ドレスデンの中央駅からエルベ川方面に歩いていく石畳みの道は、両側にホテルやショッピングモール、映画館、レストランなどが立ち並んでいます。
そのまままっすぐ進んでいくと、クリスマスマーケット発祥の地と言われている、アルトマルクト広場に出ます。
小さな観覧車(屋根と扉しかないゴンドラが10個ついた観覧車。回転が高速なので怖そうです)と、たくさんの屋台(お土産物やお菓子、食事ができるところなど)が立ち並んでいました。
広場から東南にある、巨大で荘厳な聖十字架教会は、たくさんの音楽家を輩出している、聖十字架合唱団で有名です。
中は白い壁で明るく、シンプルな印象です。入り口の頭上には大きなパイプオルガンがあり、1日に何回か、演奏を聴くことができます。
教会の塔に展望テラスがあるということなので、上ってみることにしました。1人3ユーロ。256段あると言われましたが、99段までしか表示がなく、後は数えながらひたすら上っていきました。
階段の途中に教会のベルが並んでいました。今は時間になると自動で鳴り出すとのこと。手動の時は耳を悪く人が続出(ベルが塔の内部にあると、音が反響するので)したそうです。
何度か休憩しながら登りました。高さ54m、真下にはマルクト広場が小さく見え、エルベ川と旧市街の街並みが一望できます。ところどころに教会の塔がそびえ、古典的な街並みは重たい空気を漂わせています。
粉々になった聖母教会(フラウエン教会)
聖十字架教会から北東に位置する聖母教会(フラウエン教会)。第2次世界大戦の爆撃で破壊されましたが、その残骸を使って再建されています。
瓦礫から掘り出したものを、元の場所に組み込んでいく作業は「ヨーロッパ最大のジグゾーパズル」と言われました。
世界中から182億円もの寄付が集まり、東西統一後から再建が始まりました。2005年に完成。新しい石とオリジナルの部材が合わさって、モザイク模様を作り出しています。
(上の写真は、2003年訪問時、修復中を撮影したものです↑)
2003年にドレスデンを訪問したときは、まだ途中で全貌を見ることができませんでした。今回、上部の玉ねぎ型ドームを見ることができて、嬉しかったです。
(一番上の十字架は、爆撃したイギリス人兵士の家族からの寄付で復元されました。)
聖堂内部は明るいパステルカラーを基調とした装飾で、息をのむほどの美しさ。天井のフレスコ画も見事で、時間を忘れ、見とれてしまいました。
戦争の悲惨さ、苦難を乗り越え、復興させようと願う市民の力、それを叶える技術力を伝えるフラウエン教会。今はドレスデンの新しい観光名所となっています。
ドレスデン王宮
フラウエン教会の西側には、ドレスデン王宮とツヴィンガー宮殿があります。こちらも第2次世界大戦後に当時のままに再建されたものです。
王宮はザクセン王国の居城で、今は博物館になっています。王が集めた豪華絢爛な宝飾品や金銀細工品を見ることができます。
狭い路地が続くので、自分がどこにいるのかわからなくなります。広場に出たら、現在地を確認して歩きましょう。
途中で、迷子になって、ふと見上げたら、「君主の行列」の壁画前でした。馬に乗った歴代の君主35人と従者が行進する102mの壁画は、マイセンの磁器で作られています。
それぞれの君主の下に名前と年号が記されていて、最初の君主から最後の君主までは8世紀の時間差、服装や持ち物が時代によって変わっていくので、時代の流れを見ていくのは面白いです。(この壁画は戦災を免れ、奇跡的に残ったものです。)
ツヴィンガー宮殿
ツヴィンガー宮殿は、17世紀に建てられた、典型的なバロック様式の宮殿です。内部は古典絵画や陶磁器コレクションが見られます。
南側のマイセン焼のカリヨン(組み鐘)時計が付いた塔を中心に、左右対称の中庭が広がっています。(中庭に入るのは無料です。)
ところどころにある、怖いおじさんの彫像・・・女性の方が美しいと思うのですが・・・なぜ?
佐賀県西松浦郡にある「有田ポーセリンパーク」は、ツヴィンガー宮殿をモチーフに造られています。たまたま見てたNHKの「ブラタモリ」で紹介されて、びっくりしてしまいました。
ドレスデン博物館にたくさんの古伊万里や有田磁器があり、有田町とマイセンが姉妹都市になったことから、有田磁器のテーマパークがオープンしたとのこと。
是非一度行って、ドレスデンのツヴィンガー宮殿と比較してみたいです。
世界遺産の登録抹消
このあたり一帯は石畳みになっていて、時折通る馬車の、馬のひづめの音がカツンカツンと響き渡って、時代を超えた中世にタイムスリップしたような気分になります。
上に上がってエルベ川へ出ると、「ブリュールのテラス」の遊歩道があり、川沿いにはバロック様式の名建築(大学や美術館)が立ち並んでいます。川を挟んだ反対側は新市街。
見下ろしたエルベ川には、いくつかの船着き場が見えます。パドル蒸気船(蒸気機関によってパドル(水車型外輪)を回して進む船。東京ディズニーランドのマークトウェイン号など)が何台も行き来しています。
2002年にエルベ川流域18Kmが世界遺産に登録され、そのわずか4年後には危機にさらされている世界遺産リストに登録されました。エルベ川に車両用の橋を建設したため、2009年には登録抹消されました。
交通量の増加のため、やむを得ずの建設だったけれど、ユネスコは景観重視で、住民の不便さを配慮してはくれなかったのですね。
新しく作った橋の上でも、午後3時ごろから渋滞が始まるとのこと。「帰宅ラッシュには早すぎませんか?」と聞いたら、「普通は朝7時から働くので、3時4時が通勤ラッシュになるのは当たり前でしょ?」と変な顔されました。朝7時が始業時間!? 嘘でしょ~?
2002年にはエルベ川が氾濫し、甚大な被害をもたらしました。2003年に来たときは、水没した後が建物にくっきり残っていて、被害の大きさを表していましたが、そのあともすでになくなっていました。これも遠い過去になってしまったようです。
残念なことは
石畳みの道は、朝になると、ブラシのついた清掃車で掃除されているようですが、石と石との隙間に挟まっているタバコの吸い殻まで、取り除くことができません。
驚くほどたくさんの老若男女が、くわえタバコ、歩きタバコをしています。日本では、いろんな場所で禁煙が進んでいるのに、時代遅れのような、不思議な感じがしました。
駅前で「赤ん坊の今晩の夕食のために1ユーロください」って話しかけてきた若い女性は、人にお金を恵んでと言いつつ、手には火のついたタバコを持っていたので、言葉が分からないフリしてあげませんでした。あげたお金はタバコ代になるような気がして。
ドイツ人の中にも、「タバコのポイ捨てが理解できない」と腹を立てている人たちもいます。喫煙が悪いとは言わないけど、せめてポイ捨てはやめてほしいです。
ドレスデン爆撃からここまで復興した街を守るためにも。
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さいごに
残念ながら世界遺産の登録は抹消されてしまったけれど、ドレスデン旧市街の景観は素敵です。石畳の道と、古い重厚な建物・・・そして、戦争の傷跡から「元に戻す」復興の力を感じます。
いつまでもこの景観を、残していって欲しいと思います。
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