砂漠のワディラムから、車で死海へ向かいます。
死海ー塩分が濃くて、プカプカ浮くことができるという海。塩分が濃いゆえに、生物が存在できない海。そんな知識しかありませんでしたが、いつかは行ってみたいと思っていました。
砂漠の砂が髪や体に入り込んでる不快感もなんのその、ワクワク感いっぱいのドライブです。
ワディラムから死海へ向かう
ワディ・ラムから山を越え峠を越え、変わり映えのない風景の中を車で4時間半、ひた走ります。
はげ山というのか、岩山というべきか、木の生えていない山が連なって、人の住んでいない、耕すこともできなさそうな、固い地面と岩の合間を、一本道が続いています。
死海エリアに入ると、人家が増え、工場も見え始めます。死海の塩やミネラルを含んだ製品を作る工場や、炭酸カリウム、マグネシウムを抽出する工場です。
大きな煙突からモクモクと煙が吐き出されています。毎年何万人もの観光客が訪れるリゾート地、こんな工場もあるんだ、と思って眺めていました。
旧約聖書のお話では…昔このエリアに住んでいる人たちがあまりにも悪いことばかりしているので、神様が怒って天と地をさかさまにしてしまったため、死海の土地は低くなってしまったとか。
岩の上に直立して立っている岩は、人間が塩の柱にされてしまったもの、だそうです。
死海で体が浮く理由は?
死海は、西側がイスラエル、東側がヨルダンに接する位置にあり、かつては海だったと推定されていますが、地表で最も低い場所にある湖です。
海抜-418m、A波、B波などの紫外線が届かないので、日焼けの心配はありません。
海抜0mを示す看板があり、ここからどんどん海抜が低くなっていきます。
標高の高い山に登れば、気温が下がって雪に覆われますが、海抜の低い場所は、気温が上がって水分が蒸発しやすくなります。
年間降水量が少なく、気温も1年を通して高めなので、水分の蒸発が供給を上回り、塩分濃度が他の海と比べて異常に高くなってしまったのが死海です。通常の海の塩分濃度が3%に対して、死海の塩分濃度はその10倍の30%です。
死海で体が浮く理由は、死海の塩分濃度により水の密度が大きくなるため、比重の小さい人間が浮きやすくなるからです。
その塩分濃度のため、生物が生きられないことから「死海(DEAD SEA)」と呼ばれるようになりました。
空のペットボトルを持って死海エリアに入ると、ひとりでに凹んでいきます。気圧が高いので、水圧と同様に物体を押しつぶす力が働くからです。(ポテトチップスの袋を持っていれば、きっと袋が縮んで中身が砕けてしまうのでしょうね。)
死海でうまく浮く方法は?
体のどこかに擦り傷や切り傷があれば、その傷に塩を塗り込まれているような痛みだそうです。目に入れば失明の危機もあると言われています。
味は海と同じ「しょっぱい」ではなく、「舌が痛い辛さ」です。水が肺に入ると肺機能障害をおこし、死に至ることもあるそうです。
死海に入るときは、塩の結晶やら岩、石などで足の裏を傷つけるので、ビーチサンダルなどの履物をはいたまま入ることをお勧めします。
ただし、浮いたときに履物が脱げてしまう可能性もあるので、気をつけてくださいね。
私は履物が脱げて、慌てて取ろうとしたときにバランスを崩して、水を飲みそうになってしまったので、脱げたら慌てず、失くしても諦めのつくものを持参してください。
長時間の浮遊は、浸透圧の違いで体内の水分が出やすくなるそうで、30分をめどにしてくださいと言われました。
そのほか、注意点の書いた看板が入り口に立っていました。(沖まで泳がない、仰向きで泳ぐようにしてください、などと書かれています。)
個人的には、、、まず、死海に入ってゆっくり座るような姿勢で腰を下ろし、バランスをとって浮いてみてください。沈まない、けど、バランスを崩してもがくと、水が目に入ったりして危険です。
写真でよく見る、死海で浮いて新聞を読む写真、あれがやりたくて、いきなり新聞をもって入ったら、コツがつかめずバランス崩し、新聞を水につけてしまって失敗しました。
一度浮いてしまえば、水中で水をかいて、たやすく移動できます。今まで経験したことがない浮遊感を味わってください。カメラは水が付かないように気をつけて、写真を撮ってくださいね。
死海の水は、水にシロップを入れたような、とろみのようなものが目に見える感じです。体にまとわりつくような、ねばねばした感じがします。
外に出たら、シャワーを使うか、ホテルのプールに入って流してしまいましょう。
死海の泥はミネラル豊富で、泥パックができますが、顔に塗るとちょっとひりひり感があって、すぐに洗い流してしまいました。
体に塗って洗い流すと、肌がツルツルして感動的でしたが、翌日は乾燥してガサガサに。肌に合う合わないがあるようなので、それを理解したうえで挑戦しましょう。
死海を挟んで、イスラエル側に沈む夕日を眺めていました。この夕日の下では、中東和平問題などなくて、みんなが穏やかに、明日を迎えられますように、そう思わせる夕日でした。
さいごに
翌日の朝も浮遊体験をしました。プカプカ浮いていると、いろんなことが遠い遠い世界のことに思えてきます。
「世界が平和でありますように」なんてことは、ウルトラマン的願望と思っていましたが、不思議なことに、プカプカしてると思うんです。世界が平和でありますように。
そして、こんな感覚を、たくさんの人が味わえますように。切にそう思いました。
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